犬はなぜそんなに見つめるの?

なんだか視線を感じるわ・・・
と思ったら、やっぱり見られてる。
わたしも見つめ返すと、そのまま見つめ合う恋人同士の空気(笑)。

これって何か意味があるの?
何かを訴えかけられてるの?
と不思議に思っていたけど、「見つめ合う」ことには大切な意味があることを最近知って、心おきなく見つめられ、見つめている。
幸せホルモンの「オキシトシン」

みなさんは「幸せホルモン」や「愛情ホルモン」と言われる「オキシトシン」というホルモンをご存じだろうか。
オキシトシンが分泌されると、ヒトはストレスがやわらいでいって、闘争欲心や恐怖心が減って、心が落ち着き、しあわせな気持ちになれる。
たとえば、どんなときにオキシトシンが発生するかというと、
- 恋人同士で手をつなぐ
- カップルの性行為時には分泌量がググッとアップ
- エステやマッサージ
- 家族団らんや、気の合った友達同士でのおしゃべり
こんなふうな日常の行為の中でも、意識しないうちにヒトはオキシトシンを分泌させて、心を安定させている。
何より、たくさんのオキシトシンが発生する代表的な行為が、「母親が赤ちゃんを抱っこする」とき。
母親ならば、それがどんなに幸せな瞬間か実感してるはず。
視線がつなぐヒトとイヌとのコミュニケーション
実は、ヒトの母と子やカップルの間と同じように、ワンコとヒトとの「見つめ合い」がオキシトシンを発生させて、両者の間の絆の形成に大きな役割を果たすことが、麻布大学、自治医科大学、東京医療学院大学の共同研究で明らかになった。
研究によると、知能的には類人猿のチンパンジーのほうが犬よりも優れているものの、「心のあり方」はチンパンジーよりも犬が人に近いというのだ。
通常は、動物が相手をじっと見つめるのは「威嚇」が目的だが、イヌの相手が大好きな飼い主ならば「愛情」のサインとなる。
実験の内容
一般家庭で飼われている犬と飼い主30組を実験室で交流させ、交流しているときの犬の行動を分析して、交流後に犬と飼い主の尿を採取した。
行動の分析によって、犬を次の2つのグループに分類した。
- イヌが飼い主をよく見つめているグループ
- イヌが飼い主をあまり見つめないグループ
そして、尿の中のオキシトシンの濃度を比べてみたところ、1.の「イヌが見つめるグループ」で、イヌと飼い主の両方で、オキシトシン濃度が上昇していることが分かった(2.のグループは変化なし)。

それって、犬に限らず、ペットなら同じじゃない?
ところが、犬の先祖と言われるオオカミとその飼い主11組で同じ実験をしたところ、30分間同じように交流したにもかかわらず、オオカミはほとんど飼い主の顔をじっと直接見つめず、ヒトもオオカミも尿中のオキシトシン濃度が交流前後で変わらなかったのだ。
このようにイヌは進化の過程で、ヒトと似たコミュニケーションの方法を学んでいったようだ。
歳を取るごとに、淋しいかな、日常生活の中で「見つめ合う」チャンスはだんだん少なくなっている。でも、ワンコとならいつでも、いくらでも視線を絡み合わせることができる。
日々、「幸せホルモン」を浴びていたいね。

今日も見てるよ!