十津川村(とつかわむら)とはこんなとこ
「谷瀬の吊り橋」がある十津川村は奈良の最南端に位置し、びわ湖や東京23区を超える、日本の中で最も広い村だ。
世界遺産の「熊野古道(くまのこどう)」は、みなさまも耳にしたことがあるだろう。
熊野古道の中で、熊野参詣道小辺路(くまのさんけいどうこへち)と、大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)が通っているのがこの十津川村。
パワースポットとしても知られるとおり、山道を走らせていくうちに、不思議と神聖な感覚に包まれる。
大阪からはたった2~3時間の場所なのに、そこはまさに異国。
心身ともにちょっと疲れてしまったとき、リフレッシュするには最適な場所で、わたしも大好きなところだ。
吊り橋の駐車場は、村営駐車場が乗用車1回500円なり。
吊り橋の各種情報
ただし、今回のハイライトは、古道を歩くのではなく、谷瀬の吊り橋を渡ること。
「日本一」という看板は残っているものの、1954~1994年は日本一長い歩道吊り橋だった谷瀬の吊り橋は、1994年に茨城県の竜神大吊橋に「日本一」の座を譲っている。
昭和29年に800万円超をかけて架設されるまで、村民は川に丸太橋を渡して行き来していた。だが、洪水の度に丸太は流されてしまい、当時としては大金の1戸20万円を出資して生まれたのがこの吊り橋だ。
長さの一位は譲っても、怖さは勝っているようだ。
「一度に20人以上わたると危険」と表示されているが、平日のこの日、係員は常駐しておらず自由にわたることができた。
元々、この橋は地域住民のために作られた生活用の橋なので、通行は無料だ。
観光客以外の住民は、信じられないことに、二輪車(バイクや自転車)でも利用可。
HP等の写真で見れば近くに思えるが、300メートルは想像するよりずっと長い。
幅約80cmの板の間からは下が透けて見えて、足を踏み出すとギシギシと音がする。しかも、板の下で支えるワイヤー等も見当たらない。
つまり、板が抜けたら下へ真っ逆さま?!
わたしは、先に行くオトンと、オトンに抱かれたノンを追いかけるしかなくて涙目。
スリルを味わいたい方は↓の動画を。
あまりの怖さに、わたしは途中で撮影をストップしてしまった。
晴天の穏やかな天気の日なのに、高度のせいか、風でゆっくりと橋が揺れる。
ノンは高さに気づいたのか、人形のように固まっている。暴れて急に走り出したりする犬なら危険かもしれないので、利用する前に見きわめよう。
下は川じゃなくて河原。落ちたら一巻の終わりじゃない?
ワイヤーは上から見えないけど、板の下に縦にワイヤーが数本張られているから、板が割れたとしても、間からすり抜けて落ちることはないよ。
橋ができてから半世紀以上、転落事故は1件もないとのことなのでご安心を。
河原が川に比べて広いのは、昔は集落や田畑があったからだ。その集落も明治時代の大水害ですべて流されてしまった。
最初は横の網が張られてなくて、強風が吹いたら、橋が一回転したこともあるらしいよ。
恐ろしすぎる!
この日、カップルを発見。「吊り橋効果」を狙ったのだろうか。
吊り橋効果とは、恐怖や不安を一緒に体験した人に恋愛感情を持ちやすくなる心理効果のことで、カナダの心理学者による「吊り橋実験」によって実証された。
恐怖のドキドキが、恋のトキメキと錯覚されてしまうからか。
いずれにせよ、お互いの手を強く握りあって、さらに仲良しになれればいいよね。
他にも二輪車でわたる村民も。学生らも通学路として橋を利用しているらしい。日常になれば、きっと恐怖も薄らぐのだろう。
吊り橋は往復自由なので、引き返せばよい。だが、わたしたちはもう一度わたる勇気がなくて、迂回して、吊り橋ではない「谷瀬橋」を経由し、駐車場まで戻る。
「吊り橋は興味あるけど、わたるのは絶対無理!」
そういう方は、喫茶店「スプルース」のテラス席から橋を眺めるのも一興。
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「吊り橋の日」8月4日は、地元の太鼓クラブによる勇壮な太鼓の調べを楽しむことができる。
吊り橋にチャレンジする勇気がなくても、谷瀬の散歩道をゆっくりと散策してみよう。いつもと違った心洗われる休日を過ごせるはずだ。