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ワンコと過ごす大分・宝泉寺温泉
今回訪れたのは「おんせん県」大分の宝泉寺温泉。
日本一の湯の地として名高い大分県と言って思いつくのは、「湯布院温泉」や「別府温泉」だろう。
のんも湯布院と別府を訪れ、「地獄巡り」では噴出する間欠泉を間近にして、温泉気分を楽しんだ。
でも「おんせん県」と言うからには、もちろん温泉地はこの2つだけではない。大分には10以上の温泉が存在し、「宝泉寺温泉」もその1つだ。
宝泉寺温泉の魅力
日本最大の石櫃風呂
筑後川の支流に位置する宝泉寺温泉の歴史は平安時代に遡る。
平安時代の僧、空也(くうや)が、浄土教を広めるために全国を行脚していたところ、この地を訪れて、つえを大地に突き刺し、「この地に奇跡が起こる」という言葉を残して立ち去った。
そのつえは、その後、天にも上るほどの大きな杉に育った。そして、ある日、大地震が起こったとき、この杉の根元から温泉が沸き出し始めたという。
この湯は怪我をたちまち癒やすとして「宝の湯」と呼ばれ、それが宝泉寺温泉の名の由来となっている。
この場所に宝泉寺が建立されたが、今は宝泉寺で湯船として使用されていた「石櫃(いしびつ)」のみが名残として残り、無料の足湯として提供されている。
この日本最大の石櫃風呂が宝泉寺温泉のシンボルだ。
石櫃の足湯
アクセス:玖珠観光バス宝泉寺方面行きで25分、宝泉寺温泉入口下車すぐ
営業時間:9:00~21:00
掛け流し源泉の湯
宝泉寺温泉郷の泉源は、毎分2,000リットル以上という豊富な湧出量を誇る。
上にも書いたように、その歴史は平安時代と古く、無色透明の弱アルカリ性の柔らかな泉質は、老若男女に愛されている。
「石櫃の足湯」とともに、宝泉寺温泉郷を構成している「壁湯温泉」と「川底温泉」もハシゴが可能。
壁湯温泉
外湯と女性専用の貸切内湯あり。
住所: 大分県玖珠郡九重町大字町田62-1
アクセス: JR豊肥本線の豊後森駅からタクシーで30分
営業時間:9:00~21:00
料金:大人300円、子供150円
川底温泉
住所:大分県玖珠郡九重町菅原
アクセス:玖珠観光バス菅原または麻生釣行きで30分、川底温泉下車すぐ
営業時間: 7:00~22:00
料金: 500円
宝泉寺温泉は、平成21年に「源泉かけ流し」宣言を行っている。源泉かけ流し温泉協会が定めた定義は以下のとおり。
源泉とは-
1.温泉法で定められた温泉であること
2.所有する自家源泉、または共同源泉からの引き湯を使用して いることかけ流しとは-
1.新しい湯を常に浴槽に注いでいること
2.注がれた分だけの湯が浴槽の外にあふれていること
3.あふれた湯は決して浴槽に戻さないこと
4.湯量の不足を補うために、浴槽内で循環ろ過させないこと源泉かけ流しとは-
涌き出したままの成分を損なわない源泉が、新鮮な状態のままで浴槽を満たしていること
わたしたちは何の気なしに耳にしているかもしれないが、「源泉かけ流し」はこのような条件をきちんと満たしているべきなのだ。
ホタルの里
宝泉寺温泉は「ホタルの里」としても有名。
「ホタルを育てる会」の会員らや地元の小学生たちが協力して、ホタルの採取と繁殖に取り組んでいる。
3種類のホタル(ゲンジホタル・ヘイケホタル・ヒメホタル)が見られる場所は日本でも少なく、この地は「ふるさといきものの里100選」に選ばれた。
ホタルの見頃は、ゲンジホタルが5月下旬~、ヘイケホタルとヒメホタルが6月下旬~。毎年6月には「ホタル祭」が開催される。
「彩くら(さくら)」はこんな宿
さて、今回もワンコ同伴で、宝泉寺温泉を楽しむために選んだお宿は、もちろん源泉かけ流しの温泉宿「彩くら」。
関西からはるばる車を走らせ、少々お疲れがたまってきたおとんとおかんはゆっくりとした時間を過ごせただろうか。
<アクセス>
住所:大分県玖珠郡九重町町田2645
自動車:九重インターチェンジから約10km。国道387号から約2分程度で到着。
「彩くら」は宝泉寺温泉街からは少しだけ離れている。
車を走らせると、山に囲まれた田園風景から少し下ったところに、個々に離れが点在しているのが見えてくる。
2015年オープンなので、全体的にまだ新しい感じが漂っている。
受付を済ませ、そのまま車で宿泊棟まで移動。
客室
わたしたちが宿泊したのは、「冬桜」というお部屋。
(8畳和室+7.5畳洋室+ウッドデッキ・檜露天風呂付)
※10棟ある中で4棟がペット宿泊可能。
外見はシンプルなコテージ(というより民家?)風。だが、一歩部屋に入ると家具、畳なども真新しく、掃除もいき届いている。
この部屋の最大の特徴は、何と言っても、ウッドデッキと個室露天風呂だ。
窓を開けると、小川のせせらぎと小鳥の声が聞こえてくる。奥には森林。その前で露天風呂の湯けむりが漂い、絵になる風景が広がる。
こちらの露天風呂、なんとペットも入浴可。
「ホタルの里」の言葉通り、夏には小川にホタルが舞うという。
露天風呂は源泉かけ流しで24時間入浴可能なので、家族だけで誰の目も気にせずにプライベートを満喫できる。
関西ではペットと入浴できる個室風呂は記憶に無いので、やはり九州はペットに優しい地域なのかも。
そしてもう1つの特徴が、女将がこだわって選んだという調度品。
受付時にいただいたプレゼントは「ミキモト化粧品」のトラベルセット。女性用の化粧品とシャンプー類もミキモトで揃えられていた。アメニティはホテルを選ぶときにけっこう気になるところなので、「ミキモト」好き(最高級ラインだった!)のわたしは大満足。
和室の座椅子、シモンズベット、ドライヤー、小物入れなどもシックでモダン。個室露天風呂付きという高級感のある和室との対比をあえて狙ったのだろうか。
他にも、コーヒーの豆挽き抽出機が設置されており、Wi-Fi完備、何百本もの邦画/洋画がオンデマンドで視聴可能。好きな時間に温泉に浸かり、見たかった映画をゆっくり楽しむ時間が過ごせる。
ただ、少し残念な点が何点かある。
- 風呂とシャワー室が手狭。広い洗い場が欲しい方は不満だろう。
- プライベート棟であるものの、庭が完全に遮断されていないので、犬が隣棟の庭まで探検に出かけてしまう危険がある(のんも脱走したが、たまたま隣に宿泊客がいなくて問題にならずに済んだ)。
- 部屋にペット用品が常設されていない。だが、ゲージ、トイレ、食器など一通りのものは用意されているのでフロントに申し出るとよい。
室内の詳細はこちらの動画をどうぞ↓
ドックラン
ドッグランは敷地の一番奥。
小型犬と大型犬用に区分けされていないが、十分に広く、敷き詰められたウッドチップが脚に心地良い。
我が家のワンコも喜んで走り回っている。お友達ができればよかったのだけれど。
中央の休憩所(ガゼホ)で、おとんとおかんは一休み。田舎の夕焼け風景に心癒やされる。
田舎のおばあちゃん家を思い出すな・・・
食事
食事はフロントのある管理棟で食べるので、ペットはしばしお留守番。
夕食は本格的なフレンチのコース料理。食器にもこだわっている。旅館でコースと予想していなかったので驚き。ワインセラーを見るとテンションが上がる(笑)。
地の野菜や、豊後牛ステーキに舌鼓を打つ。
アラフィフ夫婦のわれわれは、コースだけでほぼ満足なのだけど、これ以外に別室に和食ブッフェが用意されている。
炊き込みご飯や、魚の煮付けにも触手が動く。
そして、スライスした生ハムはワインのアテに何度もお代わりしてしまう。
朝食は前夜と逆で、旅館らしい和食料理。これに洋食ブッフェ(パン、ベーコン、エッグなど)がプラスされる。
食事は味、量ともにレベルが高く大満足。美味しい料理をいただくと幸せになり、不思議とケンカも起きないのだ。
貸切風呂
敷地の真ん中辺りに「貸切の岩露天風呂」があり、食事後に利用。
部屋風呂もいいが、空を眺めて入る広い露天風呂も気持ちいい。こちらも24時間、プライベート感覚で利用できる。
最後に
宿泊料金はそれなりに高いので、カジュアルな犬同伴可能なホテルとは一味違い、部屋と食事のレベルは満足のいくものだった。
ただ、一見したところは、高級旅館という風情はあまりない。オープンしてまだ間がないこともあるせいか、敷地内や部屋の庭園はまだ整備が整っておらず、老舗高級旅館の「贅沢な空間」や、秘境の宿のような「非日常的空間」を期待すれば、がっかりすることもあるだろう。
しかし、10棟しかないこともあり、静寂に包まれていて、プライベートを楽しむ大人には良い宿だと思う。スタッフのホスピタリティも高い。
何よりワンコ連れで、こんなお部屋で源泉かけ流しの露天風呂を満喫できるというメリットは何物にも代えがたい。
素朴な「原風景」という個性を活かしつつ、さらに素敵な宿に成長していけばいいな。
平日のせいか、宿泊客が少ないのが気にかかる。
有名観光スポットが近くに無いから?
犬同伴じゃないとコスパが悪いかも・・・。
なお、ホタルの時期は予約が取りにくくなるとのこと。
わたしは「美人湯」に浸かりまくって、心身共に癒やされた~
ちなみに姉妹旅館の「みやこ」はもっとリーズナブルなお値段でワンコ同宿可。訪れてみたい宿の一つ。